人工甘味料の問題

脳の健康に関するベストセラー、「いつものパンがあなたを殺す」と「腸の力であなたは変わる」の著者として有名な Dr. Perlmutter は、自身のブログで、最近の研究論文を参照しながら、人工甘味料(Artificial Sweeteners)の問題について繰り返し警鐘を鳴らしています。

ダイエットソーダは効果がない《トップの図の引用元》
人工甘味料は糖尿病に強く関連している
人工甘味飲料は健康な選択ではない
甘味料はいかに腸内細菌を作り変えるか
人工甘味料 ー アルツハイマー病と脳卒中
マイクロバイオーム ー 地球的な健康への関与

「いつものパンがあなたを殺す:原題 Grain Brain」および「腸の力であなたは変わる:原題 Brain Maker」は、いずれも白澤卓二訳、三笠書房より出版)

Dr. Perlmutter のWEBサイトはこちら

糖類の摂取(sugar consumption)が、冠動脈疾患(coronary artery disease)、病的な肥満(obesity)、2型糖尿病(type 2 diabetes)のような病弊(maladies)に強く関係していることは、科学的研究によって確実かつ明確に示されてきている。

そこで、糖類の摂取を嫌うことから、「シュガーフリー」飲料( “sugar-free” beverages)なるものを、これが健康な代替飲料(healthy alternative)であるという間違った判断でもって(with the misguided sense)選択することが、人々の間で増えている。

しかし、実態(reality of the situation)は全くの見当違い(nothing could be further from the truth)である。

本稿は、Dr. Perlmutter が上記のブログにおいて取り上げている4件の研究論文の概要を示すことにより、人工甘味料の摂取が持つ問題を明らかにしようとするものです。《左端縦傍線の引用マークは Dr. Perlmutterによる要約的紹介とコメント、他は原論文より直接要約しました。》

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脳をチューンアップしてアルツハイマー病を止めよう[2/2]

Dr. Jacob Teitelbaumのインタビュー「脳をチューンアップしてアルツハイマー病を止めよう:MINDプロトコール(The MIND Protocol: Tune Up Your Brain & Turn Off Alzheimer’s)」の後編。

Dr. Teitelbaumは、慢性疲労症候群(CFS: chronic fatigue syndrome: 慢性疲労症候群)と線維筋痛(fibromyalgia)の実効的治療において、世界的に認められた専門家の1人として知られています。

本稿では、Dr. Teitelbaumがデザインしたアルツハイマー病と認知症治療の包括的アプローチであるMINDプロトコールの構成要素のうち、感染症について取り上げます。
代謝の最適化、栄養サポート、薬の問題に関しては前編で取り上げました。
前編はこちら

Dr. Teitelbaumが大物(biggies)として採り上げている感染症が、慢性の膀胱感染症(chronic bladder infection)とカンジダ(candida)です。《本稿では、膀胱感染症よりも広い概念である尿路感染症(UTI: urinary tract infection)を使うことにします。》

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脳をチューンアップしてアルツハイマー病を止めよう[1/2]

「アルツハイマー病は大部分が予防できる(for the most part preventable)」という強力なメッセージをこめて米国で公開されたドキュメンタリーシリーズ「アルツハイマー病からの目覚め(awakening from alzheimer’s)」awakening from alzheimer’sのWEBサイトはこちら

この中から、Dr. Jacob Teitelbaumのインタビュー「脳をチューンアップしてアルツハイマー病を止めよう:MINDプロトコール(The MIND Protocol: Tune Up Your Brain & Turn Off Alzheimer’s)」の情報を要約的にご紹介します。

Dr. Jacob Teitelbaumは、慢性疲労症候群(CFS: chronic fatigue syndrome: 慢性疲労症候群)と線維筋痛(fibromyalgia)の実効的治療において、世界的に認められた専門家の1人として知られています。自身が慢性疲労症候群と線維筋痛のため、メディカルスクールを中断してホームレスになった経験がある由。 著書も多数ありますが、邦訳はされていません。

Dr. TeitelbaumのWEBサイト Dr. T’s Health Blog に掲載されているMINDプロトコールの記載内容も適宜加えました。

本稿はその前編として、
・Dr. Teitelbaumが指摘するアルツハイマー病の特徴
・彼がデザインしたアルツハイマー病と認知症治療の包括的アプローチであるMINDプロトコールの概要
・その構成要素のうち、代謝の最適化、栄養サポート、薬の問題
について取り上げます。
もう一つの構成要素である感染症に関しては後編で紹介します。

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アルツハイマー病と眠れない脳:睡眠が記憶と認知にいかに影響するか[2/2]

Dr. Michael Breusのインタビュー「アルツハイマー病と眠れない脳:睡眠が記憶と認知にいかに影響するか(Alzheimer’s & The Wakeful Brain: How Sleep Affects Memory & Cognition)」の内容紹介の後編です。
前編はこちら

Dr. Michael Breusは、米国でスリープ・ドクター(Sleep Doctor)と呼ばれている著名な臨床心理学者(Clinical Psychologist)。著書も多いのですが、邦訳はされていません。
Dr. BreusのWEBサイトはこちら

2回目の本稿では、サーカディアンリズムを適切に維持することの重要性と、それを乱さないで正しく維持することに関わる諸々の事柄の紹介です。また背景となっている、睡眠を促すツー・プロセスモデルや、睡眠と覚醒の切り替えのメカニズムなどについての解説を加えました。

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アルツハイマー病と眠れない脳:睡眠が記憶と認知にいかに影響するか[1/2]

「アルツハイマー病は大部分が予防できる(for the most part preventable)」という強力なメッセージをこめて米国で公開されたドキュメンタリーシリーズ「アルツハイマー病からの目覚め(awakening from alzheimer’s)」の中から、Dr. Michael Breusのインタビュー「アルツハイマー病と眠れない脳:睡眠が記憶と認知にいかに影響するか
(Alzheimer’s & The Wakeful Brain: How Sleep Affects Memory & Cognition)」の情報を要約的にご紹介します。
awakening from alzheimer’sのWEBサイトはこちら

Dr. Michael Breusは、米国でスリープ・ドクター(Sleep Doctor)と呼ばれている著名な臨床心理学者(Clinical Psychologist)。著書も多いのですが、邦訳はされていません。
Dr. Michael BreusのWEBサイトはこちら

今回は内容が多岐にわたり、かなり長大となりますので、2回に分けて掲載いたします。第1回めの本稿は、一晩の睡眠のパターン、睡眠不足によって何が起きるか、睡眠時無呼吸、よい睡眠を得る方法などについてです。

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われらの時代にアルツハイマー病は終わる

「アルツハイマー病は大部分が予防できる(for the most part preventable)」という強力なメッセージをこめて米国で公開されたドキュメンタリーシリーズ「アルツハイマー病からの目覚め(awakening from alzheimer’s)」の中から、Dr. Dale Bredesenのインタビュー「われらの時代にアルツハイマー病は終わる(The End of Alzheimer’s in Our Time)」の情報を要約的にご紹介します。
awakening from alzheimer’sのWEBサイトはこちら

Dr. Dale Bredesenは、アルツハイマー病を克服するという分野での世界的なリーダーで、最近出版した「アルツハイマー病 真実と終焉」(白澤卓二監修、山口茜翻訳、ソシムより出版、原題 The End of Alzheimer’s)はベストセラーとなっています。
(トップの画像はこの著書から引用)
Dr. BredesenのWEBサイトはこちら

Dr. Bredesenによれば

我々は現在、アルツハイマー病が治療可能(treatable)であるという時代の文字通りの幕開けを目にしている。

我々は、この病気に伴う認知低下(cognitive decline)を回復に向かわせつつある(reversing)。最初の例は1年半少し前、10のケースについてであった。現在は100人以上の患者が治療プログラムを受けており、劇的かつ前例のない改善 (dramatic and unprecedented improvements)を目の当たりにしている。

例えば、
・MRIで観察した
海馬体積(hippocampal volume on MRI)の改善
・定量的な神経細胞検査(quantitative neurocyte testing)の改善
・仕事への復帰
・出来なかった作業が出来るようになる
・配偶者や子供達との交流
・記憶が戻る
など。

詳しい治療事例は前掲著書を見ていただくことにして、本記事では、Dr. Bredsenが提唱するアルツハイマー病の根本原因と治療プログラムがどのようなものか、また予防にも役立つと思われる食事法について記述いたします。

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