除草剤と遺伝子組み換え作物

「モンサントの除草剤でがん発症」、末期患者に賠償320億円 米裁判所 というニュースが話題になっています。
この判決に関わる様々な情報について、 FOOD REVOLUTION NETWORK の主宰者の一人である Ocean Robbins氏が、What The $289 Million Verdict Against Monsanto Means To You というWEB記事で詳しく解説していますので、主としてそれに依りながら、除草剤と遺伝子組換え作物の問題について整理しました。

2018年8月10日、末期的な非ホジキンリンパ腫(terminal non-Hodgkin’s lymphoma)《リンパ系に悪性(がん)細胞が認められる病気》と診断されている46歳のドウェイン・ジョンソン(Dewayne Johnson)氏は、画期的な裁判(landmark case)で大きな勝利を得た。

ジョンソン氏は、カリフォルニア学区(California school district)のグラウンドの管理人(groundskeeper)として働いている間、モンサント社の《グリホサートを有効成分とする除草剤である》ラウンドアップ(Monsanto’s Roundup)を年間最大30回使用していた。カリフォルニア州の陪審員団(California jury)は、除草剤(weed killer)がジョンソン氏のガンの原因であり、農薬製造者(pesticide-maker)は彼が《それに》曝されることによる健康上の危険について彼に警告するのを怠った(failed to warn him of the health hazards from his exposure)と判断した。

陪審団は、モンサント社(2018年6月にバイエル社(Bayer)と合併(merged with)して巨大な農薬・製薬会社(enormous agrochemical and pharmaceutical company)となった)に対して、ジョンソン氏に総額2億8900万ドル(約320億円)の支払いを命じた。

これが報道されているこの裁判の概要です。

下記論文によれば、ジョンソン氏が患っている非ホジキンリンパ腫(non-Hodgkin’s lymphoma:NHL)の発病が、米国において1975年から2006年の間に2倍近く増加しており、グリホサートに基づく除草剤(glyphosate-based herbicides :GBHs)が、それを職業的に使用する人達や、それを日常的に使っている地域の住民達の、この病気の発症リスクを高くすることに関係していると疑われている。しかし因果関係が厳密に研究されているわけではない。
この論文は、グリホサートの使用に関わる様々な懸念(Concerns)について詳しくサーベイしています。
J. P. Myers et al. Concerns over use of glyphosate-based herbicides and risks associated with exposures: a consensus statement. Environ Health. 2016; 15: 19. doi: 10.1186/s12940-016-0117-0

モンサント社はなぜ敗訴したのか?

この訴訟(case)が特筆すべき(particularly noteworthy)なのは、裁判官(judge)が、モンサント社が除草剤製品の危険性を示す証拠を隠蔽している(Monsanto suppressed evidence that showed the risks of its weed-killing products)という申し立て(claims)と共に、彼のガンの原因に関する科学的な議論(scientific arguments about what caused his cancer)を提起する(present)ことを許可したことである。
Landmark lawsuit claims Monsanto hid cancer danger of weedkiller for decades

広範な裁判の間に(during the extensive trial)、原告の弁護団(plaintiff’s attorney)はモンサント社の幹部の内部電子メールを提出した(brought forward)
Monsanto ‘bullied scientists’ and hid weedkiller cancer risk, lawyer tells court

同社がどのように、専門家の警告を繰り返し無視し(how the corporation repeatedly ignored experts’ warnings)、好都合な科学的分析を探し求め(sought favorable scientific analyses)、継続使用を促すゴーストライトによる研究を手助けしたか(helped “ghostwrite” research that encouraged continued usage)を、電子メールははっきり示していた(demonstrated)
Carey Gillam and Nathan Donley: A story behind the Monsanto Cancer Trial — Journal sits on retraction

陪審団は、モンサント社が過失(”negligent failure”)《発生を防止しなかった不注意による落ち度》に対して責任があるとの評決を下し(found Monsanto to be responsible for “negligent failure” )、同社がその製品が危険であることを知っていたか知っているべきだったと宣言した(declared that the company knew or should have known that its product was “dangerous.”)
 Monsanto ordered to pay $289m as jury rules weedkiller caused man’s cancer

この評決の結果、何が起こるだろうか? 

モンサント社は当然、裁定に同意せず、上訴しようとしている。最終的な結着がつくまで何年もかかるであろう。ジョンソン氏は、医師たちから余命数ヶ月と言われているので、賠償金を受け取るまで生存しているとは思われない。

しかしながら、夫であり3人の子供の父親である彼は、彼の被った苦しみが無駄にならないことを望んでいる。彼はまた、自分のような人たちがヒトにガンを発生させる製品を使う場合に、警告なしに命を危険にさらすことがないよう、将来、表示ラベルが変更されることを望んでいる。
Cancer patient who was awarded $289M in Monsanto case speaks out

今回の訴訟の判例によって、今やモンサント/バイエル側が、ラウンドアップが安全であるということを立証しなければならない立場にある。もし彼らがそれに失敗すれば、続く法廷はこの判決を支持するであろう。ジョンソン氏の訴訟は始まりに過ぎないかもしれない。

実際のところ、ジョンソン氏の場合と似た8000以上の訴訟が法廷で進行中である。
Bayer’s Monsanto faces 8,000 lawsuits on glyphosate

モンサント社はその製品の安全性を弁護

裁判を受けて(Following the trial)、モンサント社の統括責任者(vice president)Scott Partrudge氏は、グリホサート(glyphosate)(《モンサント社の除草剤である》ラウンドアップの主たる有効成分(the main active ingredient in Roundup))とガンとの関連性は無かった(was no link)と再び断言した(reaffirmed)

彼は、この製品の背後にある、40年以上の安全な利用と科学が、評決(verdict:陪審が下す決定)によって変わるものではない(“verdict doesn’t change the four-plus decades of safe use and science behind the product.”)と宣言した(declared)

しかし、世界保健機関は意見を異にする(World Health Organization disagrees)

2015年に、世界保健機関の国際ガン研究機関(International Agency for Research on Cancer:IARC)は、グリホサートはおそらく《= 十中八九、高い確実性で》ヒトに対して発がん性がある(glyphosate is “probably carcinogenic to humans”)と裁定している(ruled)
IARC Monographs Volume 112: evaluation of five organophosphate insecticides and herbicides

モンサント社が国際ガン研究機関(IARC)に対して反撃した衝撃的なやり方

グリホサートの製造者であるモンサント社(Glyphosate’s maker, Monsanto)は、IARCの決定が気に入らず、WHOとその裁定を弱体化することを試みた(set out to undermine the WHO and its ruling)

IARCが説明し文書に記録しているところによれば、
2015年3月に、おそらくヒトに対して発がん性があるとグリホサートを分類した後に(Following the classification of glyphosate in March 2015 as probably carcinogenic to humans)、[…]   IARCは、利害関係者達による、IARCの信頼性を損ねようとする、前例のないほど多くの組織的な活動の標的となった。
(IARC has been the target of an unprecedented number of orchestrated actions by stakeholders seeking to undermine its credibility.)
IARC Monograph on Glyphosate

透明性を守ために、IARCはそれらの出来事のいくつかを文書に記録した。我々の反応はガバナンスWEBサイトで見ることができる。
Information for IARC Councils

モンサント社は、その製品の評判が損なわれるのを防ごうとして、倫理的な一線、また潜在的に法律上の一線さえ越えたように思われる。(Monsanto, it seems, has crossed major ethical and potentially even legal lines in order to keep its product’s reputation from being undermined.)

ブルームバーグ(Bloomberg)は、モンサント社がいくつかの安全審査(safety reviews)のゴーストライターを有していた《社員が安全審査を編集していた》と報じている。
Monsanto Was Its Own Ghostwriter for Some Safety Reviews
また、モンサント社が他の組織のガン研究を葬るのを、EPA 《United States Environmental protection Agency》 の職員が手助けしたと伝えられている。(EPA official reportedly helped Monsanto “kill” another agency’s cancer study.)
EPA Official Accused of Helping Monsanto ‘Kill’ Cancer Study

これらの問題は、裁判所の指示によって公開された(released under court mandate)数千ページに及ぶ開示文書(discovery documents)、その大部分がモンサント社の内部通信、を調査したCarey Gillam氏とSheldon Krimsky氏の中の一人、Sheldon Krimsky氏により、詳しく述べられています。
Essay: Monsanto’s ghostwriting and strong-arming threaten sound science—and society
その記載するところのモンサント社の三つのやり方は、
第一は、ゴーストライティングといわれるもので、ある科学論文がモンサント社が望まない結果を出したとき、それに対して同社は社内で自分たちの研究論文を作成し、社外の研究者に金を払ってその名前でその研究論文を投稿させていた《実際の執筆者とモンサント社の名前は表に出ない》。
第二は、モンサント社が同意できない結果を引き出した論文に対し、それが執筆者の同意なく撤回されるよう、その学会誌の編集者に、持てる限りの影響力を行使して圧力を加えた。
第三は、EPA(Environmental protection Agency)に対する影響力を行使し、EPAに、他の機関であるAgency for Toxic Substances and Disease Registryがグリホサートの独自の評価(assessment)をしないよう
説得させた。

また、前掲の Carey Gillam and Nathan Donley: A story behind the Monsanto cancer trial — journal sits on retraction によれば、
2016年9月に発行された、「グリホサートの発ガン性に関する独立したレビュー(An Independent Review of the Carcinogenic Potential of Glyphosate)」と題する論文誌特集号 Special issue of Critical Reviews in Toxicology (CRT)  で、独立した《モンサント社の介入や影響を受けないと称する》専門家で構成される4分野《グリホサートへの被曝(glyphosate exposure)、動物に対する発ガン性(animal carcinogenicity)、遺伝毒性(genotoxicity)、疫学調査(epidemiologic studies)》の委員会(panels)が、掲載された5本のレビュー論文すべてにおいて、「データは、2015年3月の世界保健機関の国際ガン研究機関(IARC)の、グリホサートがおそらくヒトに対して発がん性があるという裁定を支持せず、グリホサートにヒトに対する発ガン性のリスクがあるとは考えられないと結論」しています。この、IARCの裁定を真っ向から否定する内容は、その重大さゆえにメディアによって広く取り上げられました。
ところが、今回の裁判の過程で公開されたモンサント社の内部文書により、モンサント社のトップサイエンティストが、これらのレビュー論文の原稿を事前に読んでいただけでなく、それらの作成や編集に一枚かんでいた(had a hand in drafting and editing them)ことが露呈したわけです。

ル・モンド紙(Le Monde)の調査は、グリホサートを救うために、可能な限りのあらゆる手段を使って、《IARC》を破壊しようとするモンサント社の試みを詳述している。(An investigation in Le Monde details Monsanto’s effort “to destroy the United Nations’ cancer agency by any means possible” to save glyphosate.)
The Monsanto Papers, Part 1 — Operation: Intoxication

《食品と農業ビジネスに関するベテランジャーナリストである》 Carey Gillam 氏が書くところによれば、
モンサント社とその化学工業界の同盟者たちは、グリホサートに基づく除草剤の危険性について、消費者、農業従事者、規制機関、立法府の議員達を混乱させ欺くために、何十年も積極的に活動してきた。(Monsanto and its chemical industry allies have spent decades actively working to confuse and deceive consumers, farmers, regulators, and lawmakers about the risks associated with glyphosate-based herbicides. )
彼らはその危険性を隠蔽しながら、その恩恵を喧伝し、この除草剤の使用を、それが歴史的高レベルになるよう推進してきた。(As they’ve suppressed the risks, they’ve trumpeted the rewards and pushed use of this weed killer to historically high levels.)
規制機関のデータと文書に相まって、モンサント社自身の内部インターネット文書から露見した証拠は、これ以上ないほど明白である。(The evidence that has come to light from Monsanto’s own internal documents, combined with data and documents from regulatory agencies, could not be more clear)
今こそ、全世界の役人たちは、企業の利益ではなく全住民の健康を保護するよう行動する時である。(It is time for public officials across the globe to act to protect public health and not corporate profits.)
Statement from Carey Gillam on Monsanto Roundup Cancer Verdict

どれだけのラウンドアップが我々の食品に使われているか

モンサント社は、かなり巧妙な(fairly ingenious)ビジネスモデル(そしてバイエル社が継承しつつある)を考え出してきた。

モンサント社は、種子を、同社の名高い除草剤であるラウンドアップに対して耐性を持つよう、遺伝子的に操作している。(The company genetically engineers seeds that are resistant to its famed herbicide, Roundup.)
これは、ラウンドアップに対して耐性を持つ農作物を栽培する農業従事者はその田畑でこの化学薬品《ラウンドアップ》を噴霧することができ、その結果、雑草は枯れるが農作物はそうならないことを意味する。(This means farmers growing Roundup-resistant crops can spray their fields with this chemical, and the weeds will die ― but the crops will not.)

ラウンドアップが使用できる、遺伝子的に操作された種子が発明されるまでは、誰も除草剤を購入しなかった。この毒性のある化学薬品を食用農作物に噴霧するものはいなかったからである。(Before the invention of genetically engineered Roundup Ready seeds, no one ever consumed weed killer, because no one ever sprayed these toxic chemicals on food crops.)
そうすることは農作物を枯らしてしまうことになる。(To do so would have killed the plants.)

今や、遺伝子組み替え技術のおかげで、ラウンドアップは人の飲食に供されることになる食用農作物に直接噴霧されている。

この方法は、歴史的に前代未聞の現実を生み出した。
我々の圧倒的多数(vast majority of us)は、今や日常的に(on a daily basis)除草剤を食しているのだ。
その量は膨大(enormous)である。
この化学薬品は、米国で栽培されるトウモロコシの89%、大豆の94%に噴霧されている。

米国内、および世界でどのくらいのグリホサートが使用されているかは、下記の文献に記載されている数値を引いておきます。
C. M. Benbrook. Trends in glyphosate herbicide use in the United States and globally. Environ Sci Eur. 2016; 28(1): 3. doi: 10.1186/s12302-016-0070-0

米国および全世界におけるグリホサートの使用量(単位はトン)

1995 2000 2005 2010 2015
米国 18,144 44,679 81,506 118,298 125,384
全世界 67,078 193,485 402,350 652,486 825,804

どうやって遺伝子組み換え食品とグリホサートを回避するか

オーガニックに育てられた食品(organically grown foods)は、定義によれば(by definition)、非遺伝子組み換えであり、グリホサートを使用していない。

したがって、遺伝子組み換え食品とグリホサートを回避したいなら、オーガニックの食品を選ぶのが重要である。

しかし、すべての人がオーガニックの食品でいく余裕はないであろう。(But not everyone can afford to go organic. )《米国では、オーガニック市場は食品市場全体の約5%を占めると言われています。参考資料 》
そこで、どんなノンオーガニック食品がグリホサートを含んでいる可能性が高いかを知ることは有用であろう。

遺伝子組み換えである主要な農作物は、

・トウモロコシ(corn):多くは家畜用飼料と、エタノール製造《バイオエタノール、全生産量の40%に使われるが、多くの精製食品(refined foods)にも使われている。

・大豆(soy):動物の飼料にも使われるが、多くは加工され精製食品の形で人の食用にされる。

・甜菜(sugar beets):米国の砂糖の約50%の原料で、そのほとんどが遺伝子組み換えである。(《残り約50%の砂糖の原料である》サトウキビは遺伝子組み換えでない。)

・キャノーラ(canola):ほとんどがキャノーラ油の原料。

・アルファルファ(alfalfa):主として動物用飼料。

・綿(cotton):布および綿実油の原材料。

特にトウモロコシと大豆は、すべての食品添加物(food additives)の自然原料(raw ingredients)として使われていることを覚えておかなければならない。それらは、

・アスパルテーム《人工甘味料》、アスコルビン酸ナトリウム《酸化防止剤》、ビタミンC
(aspartame, sodium ascorbate, and vitamin C)

・クエン酸《化粧品の保存料として使用される》、クエン酸ナトリウム、エタノール、自然調味料
(c
itric acid, sodium citrate, ethanol, and natural flavorings)

・人工調味料、異性化糖、アミノ酸液《植物タンパク質加水分解物で広く加工食品の調味に使用されている》
(artificial flavorings, high fructose corn syrup, and hydrolyzed vegetable protein)

・乳酸、マルトデキストリン、グルタミン酸ナトリウム
(lactic acid, maltodextrin, monosodium glutamate)

・スクラロース《人工甘味料》、植物性タンパク質、キサンタンガム《増粘剤、増粘安定剤》
(sucralose, textured vegetable protein (also known as TVP), xanthan gum)

注意すべきは遺伝子組み換えだけではない

最近まで、遺伝子組み換えを避ければ、ラウンドアップとその基本的な有効成分であるグリホサートを口に入れないですんだ。しかし、今や問題はより複雑である。

今では、グリホサートを乾燥剤(desiccant)として使用することが多くなっている。この除草剤(herbicide)を、収穫前に乾燥させるために、遺伝子組み換えでない農作物に噴霧しているのである。それらの農作物は、小麦(wheat)、大麦(barley)、からす麦(oats)などである。このやり方は、豆類の一部(some legumes)、ヒマワリの種(sunflower seeds)、ジャガイモ(ptatoes)にも拡がりつつあるようだ。

米国農務省の資料 によれば、米国で遺伝子組み換えの小麦は商業的には栽培されていない(no GM wheat is commercially grown in the United States)。
しかし、米国 National Wheat Foundationの資料 The Facts About Glyphosate によれば、米国の小麦栽培面積の33%でグリホサートが使われており(2016年)、多いのが種まき(planting)の前と休閑中(fallow)で、乾燥させるために収穫前に噴霧するのは全栽培面積の3%未満とのことです。

これらの食品は非遺伝子組み換えであっても、グリホサートが噴霧されている可能性がある。グリホサートを口に入れたくないなら、これらの食品のオーガニックのものを選択するのが最善である。

日本国内でのグリホサートの使用状況

少し古いデータですが、平成17年度におけるグリホサートの国内出荷量は約1万トンです。

内閣府食品安全委員会の資料 グリホサートの概要について によれば、

・除草剤として一年生雑草、多年生雑草、雑潅木まで幅広く雑草管理に使用される。
・昭和55年に除草剤として農薬登録(グリホサートアンモニウム塩、グリホサートイソプロピルアミン塩、グリホサートトリメシウム塩などがある 。)
・毒物及び劇物取締法上の普通物に相当。
・食品衛生法に基づく残留農薬基準が120種以上の作物に設定されている。
・国内流通量は、平成17年度(平成16年10月~平成17年9月)では本成分を含む農薬製剤の出荷量は液剤が10,687.5キロリットル《約1万トン》。

農林水産省の資料 農薬をめぐる情勢 平成28年2月 によれば、農薬の輸入製剤を含む生産金額は約4000億円、製剤の国内出荷量は約24万トン、そのうち除草剤は約8万トンです。グリホサートを含む農薬製剤の出荷量の記述はこの中にはありません。

日本国内における遺伝子組み換え作物の利用状況

 遺伝子組み換えは様々な食品に活かされ日本の「食」を支えています というバイテク情報普及会植物科学やバイテク作物の開発企業で構成する国際組織「クロップライフ・インターナショナル(本部ブリュッセル)」傘下の任意団体》のWEBサイト情報によれば、

遺伝子組み換え作物は、日本に毎年大量に輸入されており、私たちの身近な食品に数多く使われています。たとえば、コーン油、ダイズ油、ナタネ油、綿実油などの食用油、しょうゆ、コーンスターチ(でんぷん)、コーンシロップなどに多く利用されています。コーンスターチは、ソースやドレッシング、たれ、クリーム、ヨーグルトなどになめらかさやツヤを与えるために、コーンシロップは、清涼飲料の甘味料として使われています。また、家畜の飼料にも利用されています。

日本に輸入された遺伝子組み換え作物の大半は、表示が義務付けられていない加工食品や、私たちが直接目にすることのない家畜の飼料に利用されています。たくさん輸入されているにもかかわらず、「遺伝子組み換え作物を食べている実感があまりない」というのはこのためです。

表示に関して

遺伝子組み換え作物を使っている、または使っている可能性がある場合、「JAS法」と「食品衛生法」により、そのことを表示することが義務付けられています。表示義務の対象となるのは、ダイズ、トウモロコシ、ジャガイモ、ナタネ、綿実、アルファルファ、テンサイ、パパイヤの8種類の作物と、それらを原料とした33の加工食品です。

ただし、原材料が同じダイズでも、豆腐や納豆、みそには表示義務がありますが、しょうゆや食用油には表示の義務がありません。表示が義務付けられているのは、組み込まれた遺伝子や、その遺伝子によって作られたたんぱく質が残っている可能性のある加工食品です。しょうゆや食用油は、製造の過程で酵素分解や加熱、精製などによってこれらが分解、除去されます。ですから、遺伝子組み換え作物を使ったかどうか判別がつかないので、表示の義務がありません。また、遺伝子組み換え作物が重量割合で上位3位までの「主な原材料」に当たらない加工食品は、表示が省略できることになっています。

ダイズとトウモロコシについては、分別管理が適切に行われていて、わざとではない5%以下の混入であれば「遺伝子組み換えでない」と任意表示できることが認められています。

また、同サイトの 実用化と開発の状況 の項には、除草剤耐性作物について下記の記載があります。

除草剤耐性作物は、ある特定の除草剤をまいても枯れないよう、遺伝子組み換え技術によって作られた作物です。栽培中に特定の除草剤を1~2回散布するだけで、作物に被害を与えることなく雑草だけを枯らすことができるため、農作業の負担を軽減することができます。除草剤耐性作物として、ダイズやトウモロコシ、ナタネ、ワタ、テンサイ《砂糖の原料》、アルファルファなどが実用化されています。