遺伝子組み換えの是非[1/2]

March Against Monsanto Vancouver  Photo by Rosalee Yagihara

遺伝子組み換えの是非に関する5つの質問に対する回答( GMO vs Non-GMO: 5 Questions Answered )という記事が、米国有数の健康情報サイトである Healthline に掲載されました。

我々の食料供給に関係する遺伝子組み換え問題は、現在進行中の(ongoing)、微妙な(nuanced)、非常に議論の別れる(highly contentious)問題(issue)である。

科学界や医学界の人たちは論争の両サイドに立ち、遺伝子組み換え農作物は飢餓と増大する地球人口問題を解決するのに役立つと主張する人たちもいれば、環境にも人間にも利益以上に害をもたらす(doing more harm than good)と信ずる人たちもいる。

双方の立場を支持する多くの研究がある。我々はどちらを信用すればよいのか?

遺伝子組み換え問題に関わる論点の意味(sense)をより明らかにするため、大きく異なったサイドに立つ二人から、それぞれの専門的な意見(professional opinions)を求めた。

これがこの記事の由来です。今回は「意見」の紹介ですので、情報の要約ではなく、二人の回答の全文を訳出することにしました。

反対派は、脳の健康に関するベストセラー、「いつものパンがあなたを殺す」や「腸の力であなたは変わる」の著者として有名な神経学者の Dr. David Perlmutter
賛成派の Dr. Sarah Evanega は植物生物学者で Cornell Alliance for Science の所長(director)です。

この記事では触れられていない論点で重要と思われる情報は、続編で紹介する予定です。

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除草剤と遺伝子組み換え作物

「モンサントの除草剤でがん発症」、末期患者に賠償320億円 米裁判所 というニュースが話題になっています。
この判決に関わる様々な情報について、 FOOD REVOLUTION NETWORK の主宰者の一人である Ocean Robbins氏が、What The $289 Million Verdict Against Monsanto Means To You というWEB記事で詳しく解説していますので、主としてそれに依りながら、除草剤と遺伝子組換え作物の問題について整理しました。

2018年8月10日、末期的な非ホジキンリンパ腫(terminal non-Hodgkin’s lymphoma)《リンパ系に悪性(がん)細胞が認められる病気》と診断されている46歳のドウェイン・ジョンソン(Dewayne Johnson)氏は、画期的な裁判(landmark case)で大きな勝利を得た。

ジョンソン氏は、カリフォルニア学区(California school district)のグラウンドの管理人(groundskeeper)として働いている間、モンサント社の《グリホサートを有効成分とする除草剤である》ラウンドアップ(Monsanto’s Roundup)を年間最大30回使用していた。カリフォルニア州の陪審員団(California jury)は、除草剤(weed killer)がジョンソン氏のガンの原因であり、農薬製造者(pesticide-maker)は彼が《それに》曝されることによる健康上の危険について彼に警告するのを怠った(failed to warn him of the health hazards from his exposure)と判断した。

陪審団は、モンサント社(2018年6月にバイエル社(Bayer)と合併(merged with)して巨大な農薬・製薬会社(enormous agrochemical and pharmaceutical company)となった)に対して、ジョンソン氏に総額2億8900万ドル(約320億円)の支払いを命じた。

これが報道されているこの裁判の概要です。

下記論文によれば、ジョンソン氏が患っている非ホジキンリンパ腫(non-Hodgkin’s lymphoma:NHL)の発病が、米国において1975年から2006年の間に2倍近く増加しており、グリホサートに基づく除草剤(glyphosate-based herbicides :GBHs)が、それを職業的に使用する人達や、それを日常的に使っている地域の住民達の、この病気の発症リスクを高くすることに関係していると疑われている。しかし因果関係が厳密に研究されているわけではない。
この論文は、グリホサートの使用に関わる様々な懸念(Concerns)について詳しくサーベイしています。
J. P. Myers et al. Concerns over use of glyphosate-based herbicides and risks associated with exposures: a consensus statement. Environ Health. 2016; 15: 19. doi: 10.1186/s12940-016-0117-0

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