糖類摂取の問題[1/2]

トップの図は[文献3]Sugar-sweetened beverages and risk of obesity and type 2 diabetes: Epidemiologic evidenceより引用

糖類の過剰摂取が、健康上の様々な問題を引き起こす可能性があることは、既によく知られているところですが、

・我々は毎日どのくらいの糖類を摂取しているのか
・どのくらい摂取すると問題なのか
・どういう健康上の問題があるのか
・なぜそのような健康上の問題が生じるのか

などについて、必ずしも正確な情報が共有されていないかもしれません。そこで、信頼できる資料に基づいて、これらの情報を整理してみました。

本稿で取り上げるのは、下記の内容です。

・糖類に関係する用語の整理
・糖類摂取に関するWHO勧告(2015年)
・「糖類入り飲料と肥満および2型糖尿病のリスク:疫学的証拠」(2010年)と題する研究論文から、米国における糖類摂取の状況、健康上のリスクとそれが発生するメカニズムについて

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人工甘味料の問題

脳の健康に関するベストセラー、「いつものパンがあなたを殺す」と「腸の力であなたは変わる」の著者として有名な Dr. Perlmutter は、自身のブログで、最近の研究論文を参照しながら、人工甘味料(Artificial Sweeteners)の問題について繰り返し警鐘を鳴らしています。

ダイエットソーダは効果がない《トップの図の引用元》
人工甘味料は糖尿病に強く関連している
人工甘味飲料は健康な選択ではない
甘味料はいかに腸内細菌を作り変えるか
人工甘味料 ー アルツハイマー病と脳卒中
マイクロバイオーム ー 地球的な健康への関与

「いつものパンがあなたを殺す:原題 Grain Brain」および「腸の力であなたは変わる:原題 Brain Maker」は、いずれも白澤卓二訳、三笠書房より出版)

Dr. Perlmutter のWEBサイトはこちら

糖類の摂取(sugar consumption)が、冠動脈疾患(coronary artery disease)、病的な肥満(obesity)、2型糖尿病(type 2 diabetes)のような病弊(maladies)に強く関係していることは、科学的研究によって確実かつ明確に示されてきている。

そこで、糖類の摂取を嫌うことから、「シュガーフリー」飲料( “sugar-free” beverages)なるものを、これが健康な代替飲料(healthy alternative)であるという間違った判断でもって(with the misguided sense)選択することが、人々の間で増えている。

しかし、実態(reality of the situation)は全くの見当違い(nothing could be further from the truth)である。

本稿は、Dr. Perlmutter が上記のブログにおいて取り上げている4件の研究論文の概要を示すことにより、人工甘味料の摂取が持つ問題を明らかにしようとするものです。《左端縦傍線の引用マークは Dr. Perlmutterによる要約的紹介とコメント、他は原論文より直接要約しました。》

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加工食品の摂取とガンとの関係について

自然医学(natural medicine)の世界的権威であるDr. Michael Murrayは「新たな研究は加工食品がガンのリスクを高めるということを決定的に示している(New Study Definitively Shows Processed Foods Increase Cancer Risk)」と題するメールマガジンで、最近発表された下記の研究論文について要約・論評しています。

Fiolet T, Srour B, Sellem L, et al. Consumption of ultra-processed foods and cancer risk: results from NutriNet-Santé prospective cohort. (Published 14 February 2018)
 BMJ. 2018 Feb 14;360:k322. doi: 10.1136/bmj.k322.
(トップの画像はこの論文から引用)
以下、これを「原論文」と呼びます。

本記事の表題はDr. Murrayに倣って「加工食品(processed foods)」としていますが、原論文が問題にしているのは「加工食品(processed foods)」すべてではなく、「超加工食品(ultra-processed foods)」と呼んでいるものです。

Dr. Murrayによれば

この研究結果により、食事における少量のジャンクフードでも(even small amount of junk food in the diet)、ガンのかなりの(considerable)リスクを伴うことが示された。体内で生じた1個の変異細胞からガンのプロセスが始まることを考えれば、これは驚くべき結論ではない。

ガンの要因となる化学物質を多く含む食品(foods loaded with cancer-causing chemicals)を食べるのはロシアン・ルーレットのようなものだ。より多くのジャンクフードを食べればそれだけ弾倉の弾丸が増える。

ここではDr. Murrayは超加工食品をジャンクフードと呼んでいます。

ガンは多くの因子が関与する疾患(multifactorial disease)であるが、食事が主要因の一つであることに疑いはない。自然食品(whole natural foods)の消費はガンのリスクを低下させるが、高度に加工された食品(highly processed foods)の摂取はガンの原因として作用する(causative)。

問題は、米国および他の多くの国の食事が、特に最近の数十年間で、超加工食品(ultra-processed foods)の消費量の劇的な増加(dramatic increase)へと転換したことである。米国、カナダ、欧州各国、及び他の国々における幾つかの調査によれば、超加工食品(ultra-processed food products)が一日の全エネルギー摂取の25~50%を占めることが示されている。これが大きな問題(major problem)なのだ。

本記事では、Dr. Murrayによる原論文の要約的紹介とともに、原論文が問題にしている超加工食品(ultra-processed foods)とは何か、またそうでない食品は何かということをさらに詳しく見るために原論文の該当箇所を記載しています。

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