プロフィール

なぜ「脳と体の健康.com」というサイトを始めたか

本サイトでの情報発信は、現在のところ私一人で行っておりますので、プロフィールは私個人に関するものとなります。

私(以下、筆者)は、すでに、バラモン教でいう”四住期”の第3段階である”林住期”(財産や家族を捨て、社会的な義務からも解放され、人里離れたところで暮らす段階)に住しています。(一切の執着を捨て去って、乞食遊行する第4段階の”遊行期”にはまだ達していませんが)

現役時代は、エレクトロニクス関連企業の研究開発部門でエンジニアを生業としておりました。したがいまして、ある程度の科学的・技術的な常識はそれなりにわきまえている”はず”です。一方で、ずっと”チューサン階級”(中産階級ではなく中3階級。中学3年生程度の知能の持ち主:この用語は森巣博氏のエッセイで知りました)であることを自認しておりました。

現役時代の2008年のことですが、突然”糖尿病”と診断されました。(運動も継続的に行い、丸元淑生氏の著書などを読んで健康的な食事にも配慮していたのですが... 当時は月に2〜4回あるいは半年近くに及ぶ海外出張があり、また過重なストレスにさらされていたのが一因ではないかと思います。)
担当医から、「あなたは糖尿病と診断されたのだから、すぐに薬を服用しなさい」と言われたのですが、”チューサン階級”である筆者にはとても納得できるところではありませんでした。「あなたの糖尿病はXXXが原因だから、YYYすればそれが取り除かれて回復する可能性がある」とか、せめて「あなたの血糖値が高いのはZZZが要因だから、それを抑制すれば血糖値が下がるかもしれない」という説明なら理解できたと思うのですが。
というわけで、当初より現在に至るまで、糖尿病”治療?”薬は一切服用したことがありません。自分でいろいろと調査して工夫し(主として食事法)、良好な血糖値コントロールを維持しています。(2019年7月時点のHbA1c-NGSP値は5.4)

このことがきっかけとなって、現在および将来にわたる自分の脳と体の健康状態を最高に保つためにはどうすればよいかという観点から情報を収集し始めました。
ところが国内で発信されているインターネット上の情報のほとんどが、”チューサン階級”である筆者の納得できるものではありませんでした。止むなく、海外(主として米国)の著名な研究者の発信する情報やインターネット上で公開されている学会誌論文などから、情報収集をおこなってきた次第です。

人間はいつ死ぬのか予期することはできませんが、死ぬ直前が脳も体も最高の状態であったという夢のような話を実現できればと、現在も情報収集とその整理、それに基づいた実践(情報だけではこの夢は実現すべくもありませんから)を続けています。
せっかく収集・整理した情報なので、関心をお持ちの方にそれらを共有していただければと思い立ったのが、「脳と体の健康.com」というサイトを始めた理由です。

取り扱う分野の性格上、ジャーゴン(訳のわからない専門用語)が頻出しますが、それらを単なる記号とみなしていただければ、ストーリーは”チューサン階級”である筆者が納得できるように構成してあるつもりです。
また、筆者の研究ノート、データベースを兼ねていますので、一般には煩瑣に過ぎるかもしれない内容も含まれますが、ご自身にとって有用なところだけをお読みになって役立てていただければ幸いです。

もとより筆者は、この分野は全くの門外漢でありますが、科学技術者の端くれであった名残の科学的・技術的”良識”と、”チューサン階級”ゆえに”明晰さ”と”判明さ”を朴訥に追求するという観点から、管見に触れる限りでの情報を整理して発信することも、ある種の価値があるかもしれないと考えている次第です。

略歴など

エンジニアとして

1979年、同志社大学工学研究科電気工学専攻博士課程前期(いわゆる修士課程です)修了。
同年、日本無線株式会社(以下、日本無線)入社。

前半期は、日本無線としては新規事業分野であった光・レーザを用いた産業計測、および高速光ファイバ通信の研究・開発に従事しました。並行して大学の出身研究室との共同研究を進め、それらの成果をもとに、1998年、「レーザの周波数制御とその応用に関する研究」により工学博士。この中で、分子の飽和吸収線のレーザー分光に関する研究は、かなり複雑な実験系を案出・構成して”美しい”観測データが得られたもので、少しだけ自慢できるものです。これは工学というよりも応用物理の分野に属するものでした。

後半期は、日本無線の本業のひとつである無線通信分野において、ふたつの比較的大きな開発・商用化プロジェクトに参与する機会がありました。
ひとつめは、準ミリ波帯(26GHz)高速固定無線アクセスシステムで、この開発は総務大臣表彰の電波功績賞(2004)を連名で受賞し、日本無線のFWA実用化グループ代表として名を連ねていただきました。
ふたつめは、「マイクロ波帯(2.5GHz)広帯域移動無線アクセスシステム」
で、これにはプロジェクトリーダーとして参画いたしました。

2013年退社。

食の世界

エンジニアの世界から足を洗って、以前から関心の高かった料理と酒を集中的に研究。

料理は、仏、伊料理をメインとしつつも、懐石料理から中華薬膳、韓国料理、ヨーロッパ各国料理、中近東からアジアのエスニックな料理など、広範な料理を研究しました。かなり厖大なレシピが手元に残っています。
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並行して、ワインエキスパートやチーズプロフェッショナルなどの資格を短期間に数多く取得しました。資格が欲しかったというわけではなく、資格を取るプロセスがその分野の知見を短期間で得るもっとも効率的な方法と考えたからです。
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Cafe Bohem Tanya(カフェ ボヘーム ターニャ)を新宿区四谷に開店。厨房機器の選定からキッチン内の配置、照明を含むホールの内装など、すべてを素人ながら筆者がデザイン。また、当時の筆者の考え方を反映したメニュー・コンセプトで料理を提供していました。
2016年末に閉店。

その後、南雲吉則氏が代表を務める命の食事のアドバイザー資格、 白澤卓二氏が理事長を務める日本ファンクショナルダイエット協会のケトジェニック ダイエット シニア アドバイザー資格を取得したのをきっかけとして、本サイトでもご紹介している情報とあわせて、料理に対する考え方を一新するに至りました。
それは、現在および将来にわたる自分の脳と体の健康を最高の状態に保つという観点から、食事(食材と調理法)のあり方を追求するというものです。これに関しても、本サイトで取り上げていきたいと思っています。

身体運動

筆者は、生後1歳半のときに小児結核を患ったためか、幼少時より虚弱で、スポーツに親しむ機会がほとんどありませんでした。現在でもスポーツは、観ることもやることもほとんど関心がありません。

ところが大学を卒業する頃になって、突然、スポーツ的でない武道・武術に関心を持ち始めました。南郷継正氏の著書『武道の理論』に啓発されたのがきっかけです。剛柔流空手を始めとして、数多くの武道・武術を実践することになりました。
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現在では、多種類の武道・武術はもうやっておりませんが、身体能力開発/身体意識を鍛えるトレーニングとある種の武術の稽古は続けており、筆者の”修道生活”の大きな柱となっています。

ところで、「脳と体の健康.com」の主眼とするところは、現在および将来にわたる自分の脳と体の健康が最高の状態に保たれるように、ライフスタイルを最適化する(ある制約条件のもとで何かを最適化するというのは、技術屋の常套的発想です)ということですが、その中で「運動(エクササイズ)」も重要な部分を占めます。
筆者が日々実践しており、
自宅でも簡単にできて多様な効果が期待できる「運動(エクササイズ)」として、高岡英夫先生(筆者が永年にわたり親炙に浴しておりますので先生と呼ばせていただきます)が開発した「ゆる体操」を勧めています。

他の関心領域

筆者には、私淑しているふたりの日本人思想家がいます。井筒俊彦(1914 – 1993)廣松渉(1933 – 1994)です。井筒には1990年代の初め頃より、廣松にはさらに古く1970年代の初め頃より関心を持ち、断続的に彼らの著作を読んできました。

彼らの試みてきたことを一言で表現するとすると、井筒は「東洋哲学全体に通底する共時論的構造の把握」、廣松は認識論としての「共同主観性論」および存在論としての「事的世界観」の確立というところでしょう。両者は、それぞれ東洋哲学と西洋哲学という異なった基盤の上に基本的には立脚しながら、「認識(日常的意識における世界把握のあり方)が言語による分節の上に成り立っているという観点」、「主観と客観の二元論に対する批判的立場」など、共通する面も多くあるように思われます。

”林住期”に至って、まずはふたりの全著作を読破することに取り組んでいます。また、廣松「事的世界観」に関わる現代物理学の諸相に関しても(再)勉強中。これは筆者が認知症を発症するリスクを低減するのに効果が期待できるかもしれません。

最後に、”修道生活”では忌避されることの多い”歌舞音曲”の類ですが、脳トレーニングを兼ねてピアノを始めています。ピアノ演奏はポリフォニックな曲にしか関心がないのですが、下手ながら長年弾いているギターはバッハ以外に演歌(最近気に入っているのが、美空ひばりさんの「みだれ髪」長野文憲編曲版)も弾きます。