糖類摂取の問題[1/2]

トップの図は[文献3]Sugar-sweetened beverages and risk of obesity and type 2 diabetes: Epidemiologic evidenceより引用

糖類の過剰摂取が、健康上の様々な問題を引き起こす可能性があることは、既によく知られているところですが、

・我々は毎日どのくらいの糖類を摂取しているのか
・どのくらい摂取すると問題なのか
・どういう健康上の問題があるのか
・なぜそのような健康上の問題が生じるのか

などについて、必ずしも正確な情報が共有されていないかもしれません。そこで、信頼できる資料に基づいて、これらの情報を整理してみました。

本稿で取り上げるのは、下記の内容です。

・糖類に関係する用語の整理
・糖類摂取に関するWHO勧告(2015年)
・「糖類入り飲料と肥満および2型糖尿病のリスク:疫学的証拠」(2010年)と題する研究論文から、米国における糖類摂取の状況、健康上のリスクとそれが発生するメカニズムについて

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糖類に関係する用語の整理

本稿で出てくる糖類に関係する用語を整理しました。よくご存じの方は読み飛ばしてください。読み飛ばす

炭水化物・糖質・糖類の関係

栄養表示基準 によれば、
炭水化物とは、「当該食品の重量から、たんぱく質、脂質、灰分及び水分の量を控除して算定する」
糖質とは、「当該食品の重量から、たんぱく質、脂質、食物繊維、灰分及び水分の量を控除して算定する」
糖類とは「単糖類又は二糖類であって、糖アルコールでないもの」
とありますので、これらに則ると、

炭水化物(carbohydrate) =
 糖質 + 食物繊維(dietary fiber)
  《英語では糖質にあたる適切な用語はないようです。》

糖質 =
 糖類(sugars) +  糖アルコール類(sugar alcohol)
 オリゴ糖類(oligosaccharide)《三糖以上の》

 デンプン(starch)などの多糖類(polysaccharide)

糖類(sugars) =
 単糖類(monosaccharide)+ 二糖類(disaccharide)  

単糖類と二糖類

糖類とは、単糖類と、単糖類が2個結合した二糖類ですが、それぞれ多くの種類があります。食品に含まれる成分として重要なものを下記に示します。

単糖類
 ・ブドウ糖(グルコース:glucose
 ・果糖(フルクトース:fructose
 ・ガラクトース(galactose

二糖類
 ・砂糖(ショ糖、スクロース:sucrose):ブドウ糖と果糖が結合
 ・麦芽糖(マルトース:maltose):ブドウ糖が2個結合
 ・乳糖(ラクトース:lactose):ブドウ糖とガラクトースが結合

二糖類《とブドウ糖が多数結合した多糖類であるデンプン》は、消化酵素により単糖類に分解された後、小腸で吸収されます。
参考資料

本稿で問題とする糖類は、甘味料として使われる砂糖、ブドウ糖、果糖の3種類です。

甘味料の甘味の強さは官能検査で評価した甘味度で表されますが、砂糖を基準の1.00として、ブドウ糖は0.6〜0.7、果糖は1.20〜1.50とされています。果糖は特に温度による影響を受け、高温になると甘味が減少します。参考資料

異性化糖

異性化糖(異性化液糖とも呼ばれる)は、コーン(トウモロコシ)、馬鈴薯、甘藷(サツマイモ)などのデンプンを原料とした甘味料で、主成分はブドウ糖果糖です。1970年代に現在の製造技術が確立しました。

異性化糖は、果糖の含まれる割合によって、次の3種類で表記されます。
  ぶどう糖果糖液糖: 果糖 50%未満
  果糖ぶどう糖液糖: 果糖 50%以上〜90%未満
  高果糖液糖: 果糖 90%以上
総称して異性化液糖と表示されることもあります。

異性化糖は価格は安く、果糖分55%の異性化糖《砂糖と同等の甘さ》の場合で砂糖の約7割程度ですので、食品分野では、清涼飲料・パン・缶詰・乳製品などで砂糖と同様に大量に使われています。また、低温で甘味度が増し、清涼感も強くなることから、冷菓にも広く用いられています。

デンプンから異性化糖を作るには、3段階の酵素反応が使われます。第1段階で大きな分子のデンプンをある程度小さな分子に分解し、第2段階でこれをブドウ糖まで分解します。ブドウ糖の甘さは砂糖の0.6〜0.7倍ですので、これを砂糖の甘さに近づけるため、第3段階で異性化酵母《ブドウ糖と果糖は異性体の関係にあります》をつかってブドウ糖の一部を砂糖よりも甘味の強い果糖に変え、これを生成・濃縮することにより、果糖が約42%の異性化液糖ができます。これからクロマトグラフィーにより果糖が約92%の異性化液糖を作り、42%のものと混ぜ合わせて55%のものを作ると、砂糖と同程度の甘さの異性化糖ができます。

異性化糖は、米国ではHFCS(high-fructose corn syrup; 高果糖コーンシロップ)と呼ばれています。特に果糖が55%のものをHFCS55と呼んでいます。

参考資料
異性化液糖について|独立行政法人 農林水産消費安全技術センター
異性化糖って、何だろう?| 日本甜菜製糖株式会社
異性化糖のすべて | 日本コカ・コーラ株式会社
液糖(異性化糖)はどうして生まれたのか?

WHO勧告:「大人と子供の糖類摂取に関するガイドライン」

世界保健機構(World Health Organization:WHO)は、2015年に、「大人と子供の糖類摂取にかんするガイドライン(Guideline: Sugars intake for adults and children)[文献1]を発行しました。発行直後に、ニュース、新聞・雑誌記事などで取り上げられましたので、ご記憶の方も多いと思いますが、必ずしもその正確な内容が伝えられていないかもしれません。ここでその骨子を要約的に紹介します。

ガイドラインの背景と目的

非伝染性疾患(noncommunicable diseases)が、主要な死因(the leading causes of death)となっている。
非伝染性疾患が、2012年における世界の5600万の死亡数のうち、3800万(68%)の原因である。これらの死亡数の40%(1600万)以上が、70歳未満の若死に(premature deaths)である。
非感染性疾患全体のほとんど四分の三(2800万)と若死にの大多数(82%)が、低所得国と中所得国(low- and middle-income countries)で生じている。

質の悪い食事(poor diet)と運動不足(physical inactivity)のような修正可能な危険因子(modifiable risk factors)が、非伝染性疾患の最も一般的な要因のひとつである。これらは、多くの非伝染性疾患の独立した危険因子であり、世界的に急速に増加しつつある肥満(obesity)の危険因子でもある。

懸念されているのが(of concern)遊離した糖類(free sugars)《WHO独自の用語です。後でその定義が出てきます。》の高レベル摂取である。

遊離した糖類 − 特に糖類入り飲料(sugar-sweetened bevarages)の形 − の摂取量の増加は、全体のエネルギー摂取量を増加させると同時に、栄養の十分な食品の摂取量を減らす可能性があり、不健康な食事(unhealthy diet)、体重増加、非感染性疾患のリスク増大につながる。《もう一つの問題として、遊離した糖類の摂取と虫歯(dental caries)の関係をあげていますが、本稿ではこれは扱いません。》

遊離した糖類(free sugars)とは、製造者、調理人、消費者によって、食品と飲料に加えられた単糖類と二糖類、ならびに蜂蜜、シロップ類、フルーツジュース類、濃縮フルーツジュースに天然に存在する糖類である。(Free sugars include monosaccharides and disaccharides added to foods and beverages by the manufacturer, cook or consumer, and sugars naturally present in honey, syrups, fruit juices and fruit juice concentrates)

このガイドラインの目的は、大人と子供の非感染性疾患のリスクを低減するために、遊離した糖類(free sugar)の摂取量に対する勧告を提供することである。不健康な体重増加および虫歯の予防と管理(prevention and control)に、特に焦点をあてている。

このガイドラインでは、糖類(sugars)を3種類に分類しています。
・内在する糖類(intrinsic sugars):完全なままの(intact)果物や野菜の構造に組み入れられている糖類
・乳(milk)に天然に含まれる糖類:ラクトースとガラクトース(lactose and galactose)
遊離した糖類(free sugars)

前二者の糖類《生の果物や生あるいは調理した野菜を食べることによって摂取される糖類と、乳製品を飲食することによって摂取される糖類》の摂取が悪影響をもたらすことは報告されていないので、このガイドラインの勧告は、三番目の遊離した糖類(free sugars)の影響にフォーカスしているとしています。

添加した糖類(added sugars)だけでなく、フルーツジュース類、濃縮フルーツジュースなどに含まれる糖類も、遊離した糖類(free sugars)に該当するのが注意しておくべき点だと思われます。

また、遊離した糖類(free sugars)の摂取は、《必要な》カロリー摂取のための適切な方策ではないと明記しています。

勧告の内容

強い勧告(strong recommendation)

・生涯を通じて、遊離した糖類(free sugars)の摂取量を減らすことを勧告する。(WHO recommends a reduced intake of free sugars throughout the lifecourse)

・大人と子供双方において、遊離した糖類(free sugars)の摂取量を、全エネルギー摂取量の10%未満まで減らすことを勧告する。(In both adults and children, WHO recommends reducing the intake of free sugars to less than 10% of total energy intake)

条件付き勧告(conditional recommendation)

遊離した糖類(free sugars)の摂取量をさらに減らして、全エネルギー摂取量の5%未満にすることを提言する。(WHO suggests a further reduction of the intake of free sugars to below 5% of total energy intake)

強い勧告と条件付き勧告について

強い勧告とは、「勧告の遵守による望ましい効果が、望ましくない結果に勝ることを示している」「これはほとんどの状況において政策として採用することができることを意味する」とあります。

また条件付き勧告とは、「勧告の実施による利益と損害や不利益との間のバランスに関して確実性がより少ない場合になされる。これは政策策定は実質的な論議と様々な利害関係者(stake holders)の関与を必要とすることを意味する」とあります。

WHOの勧告は、個人に対してというよりも、加盟国の採るべき政策に対するものです。

WHO勧告はどのくらいの摂取カロリー量に相当するか

厚生労働省のエネルギーの食事摂取基準による、基準体位で身体活動レベルがふつうの人の推定エネルギー必要量と、その10%量および5%量を例示しますと、

エネルギー必要量 10%量 5%量
6〜7歳 男子 1,650 kcal/日 165 kcal/日 83 kcal/日
6〜7歳 女子 1,450 kcal/日 145 kcal/日 73 kcal/日
18〜29歳 男性 2,650 kcal/日 265 kcal/日 133 kcal/日
18〜29歳 女性 2,050 kcal/日 205 kcal/日 103 kcal/日

となります。

日本人の糖類摂取量

日本人の糖類摂取量についてはっきりとしたデータは見当たりませんでしたので、年間消費量の見通しから推定することにします。

農林水産省の平成30年6月27日付け資料 砂糖及び異性化糖の需給見通しについて によれば、平成29年10月1日から翌30年9月30日までの1年間の消費量の見通しは、

分蜜糖 1,900千トン
含蜜糖 36千トン
異性化糖 829千トン

分蜜糖とは、さとうきび、てん菜を原料とする糖汁を結晶化し、糖蜜を分離したもので、上白糖、グラニュー糖などがある。
含蜜糖とは、さとうきびを原料とする糖汁を濃縮し、糖蜜を分離せずに固化させた黒糖などである。
異性化糖とは、ぶどう糖と果糖の混合液糖であり、主に清涼飲料に使用される。

合計すると2,765千トンとなりますが、これを単純に《年齢別の消費量の違いなどを考慮せず》日本の総人口1億2670万6000人(総務省統計局による人口推計:平成29年10月1日現在)で割りますと、
1人あたり年間消費量 21.8 kg、1日の平均消費量は59.8gで、これは 239kcalに相当します。《消費者の口に入ることのない廃棄分が含まれますが、おおまかな推定なので無視しています。》

先ほどの表と見較べますと、日本人は、成人男女の総カロリー摂取量のおおむね10%に相当する糖類(砂糖及び異性化糖)を平均して消費していることが分かります。したがって、日本においては、WHOの「強い勧告」の10%未満という数字は、ほぼ現状維持でこれ以上増加させないこと、「条件付き勧告」の5%未満という数字は半減させるということを意味します。

5%未満という数字を政策に盛り込むことは、砂糖及び異性化糖に関係する売上げが半分になることですから、政策策定には、製造・販売事業者などの様々な利害関係者(stake holders)の関与を必要とするということなのでしょう。《ほとんど不可能に近い?》

しかし、我々が自身や家族の健康を考える上では、製造・販売事業者などの利害関係 などは全く関係がありません。

例えば、アメリカ心臓協会は、2009年に出した声明「食事由来の糖類摂取と心血管系の健康(Dietary Sugars Intake and Cardiovascular Health A Scientific Statement From the American Heart Association)[文献2]において、

心血管系のリスクを減らすには、1日あたりの添加された糖類の摂取量を、女性100kcal未満、男性は150kcal未満にすべきである
(Most American women should eat or drink no more than 100 calories per day from added sugars, and most American men should eat or drink no more than 150 calories per day from added sugars.)

としています。
これは、1日のカロリー量のおおむね5%に相当する量です。

糖類入り飲料の消費量増大と肥満・2型糖尿病・心血管疾患のリスク

International Behavioral Neuroscience Societyの学会誌 Physiology & Behavior(生理学と行動)に2010年に掲載された「糖類入り飲料と肥満および2型糖尿病のリスク:疫学的証拠(Sugar-sweetened beverages and risk of obesity and type 2 diabetes: Epidemiologic evidence)[文献3] から、先述のWHOガイドラインの背景となっている研究動向についてみておきましょう。

米国における糖類入り飲料摂取の現状

最近数10年間において、肥満の急増と糖類入り飲料(sugar-sweetened beverages:SSB)の消費増大との間に、近い並行関係が示されている。

最も最近のデータによれば、子供と大人は1日あたりそれぞれ172kcalと175kcalを糖類入り飲料から摂取している。1970年代末期に1日の総カロリーの3.9%だったものが、2001年には9.2%と2倍以上に増加している。《トップの図をご参照ください。この論文から引用したものです。》
特に40歳以下の増加が著しく、2 – 19歳では4.8%から10.3%に、19 -39歳では5.1%から12.3%に増加している。

糖類入り飲料とは、砂糖(sucrose)、異性化糖(high-fructose corn syrup)、フルーツの濃縮ジュース(fruit-juice concentrates)などを含む飲料であり、それらはすべて同様の代謝効果(metabolic effects)をもたらす。

これらの飲料は、あらゆるソフトドリンク、炭酸清涼飲料、スポーツドリンク、栄養ドリンク、ビタミン飲料、砂糖入りのアイスティー、コーディアル、スカッシュ、レモネード(full spectrum of soft drinks, carbonated soft drinks, sports drinks, energy and vitamin water drinks, sweetened iced tea, cordial, squashes, and lemonade)を包含し、それらを合わせたものが、米国における添加された糖類(added sugar intake)の最大のものである。 

糖類入り飲料と肥満・2型糖尿病・心血管疾患のリスク

糖類入り飲料が、肥満の蔓延の病因論的役割(etiologic role in the obesity epidemic)を担っているのではないかと長い間疑われてきたが、大規模な疫学的調査(large epidemiological studies)により、糖類入り飲料と、長期の体重増加・2型糖尿病・心血管疾患のリスク(long-term weight-gain, type 2 diabetes (T2DM) and cardiovascular disease (CVD) risk)との関係が定量化できるようになったのは最近のことである。

この論文では、疫学的証拠(epidemiologic evidence)として、下記の分野における前向きコホート研究(prospective cohort studies)をサーベイしています。

・肥満(Obesity)
・2型糖尿病とメタボリックシンドローム(Type 2 Diabetes and Metabolic Syndrome )
・高血圧、脂質パラメータ異常、炎症、慢性肝疾患(Hypertension, lipids, inflammation, CHD)
・他の代謝疾患:痛風、高尿酸血症、胆石、腎疾患(Other Metabolic Diseases: Gout, Hyperuricemia, Gallstone and Renal disease)

ここでは、その詳細には立ち入らず、この論文が指摘している潜在的な生物学的機序(potential biological mechanisms)について紹介します。

肥満 ー カロリーの過剰摂取

糖類入り飲料が肥満の一因になるのは、一つには(in part)、 糖類入り飲料を飲んだ後の食事における不十分なエネルギー補正(incomplete compensation for energy)《糖類入り飲料でカロリーを摂取したにもかかわらず、そのカロリー分を十分に差し引くことなく、その後の食事でカロリーを摂取してしまう。》によると考えられている。

高グリセミック負荷

糖類入り飲料に使われる吸収の早い炭水化物である砂糖や異性化糖(rapidly absorbable carbohydrates such as sucrose or HFCS)を多量に摂取すると、血中のブドウ糖濃度と《それに誘発される》インシュリン濃度を急上昇させる。このようなグリセミック負荷(glycemic load:GL)《グリセミック指数(Glycemic Index: GI)に炭水化物の重量をかけた値で、血糖値を上昇させる程度を表す指標》の高い食品摂取は、炎症、インシュリン抵抗性、β細胞《膵臓のランゲルハンス島にあるインスリン分泌細胞》機能の損傷(inflammation, insulin resistance and impaired β-cell function)につながり、2型糖尿病と心血管疾患のリスクを増大させる。

果糖の過剰摂取

最近、これらの飲料に含まれている果糖(fructose)の代謝上の潜在的な悪影響(potentially adverse metabolic effects)が大きく注目されている。

砂糖sucrose)と異性化糖(HFCS)の双方に、それぞれ相対的に等量《おおむね50%》含まれている構成物質である果糖(fructose)は、 肝臓で選択的に脂質に代謝され(preferentially metabolized to lipid in the liver)、肝臓での新生脂質生成、脂質異常症、インシュリン抵抗性をもたらす(leading to increased hepatic de novo lipogenesis, dyslipidemia and insulin resistance)。果糖の摂取はまた、内臓脂肪症(visceral adiposity)を促進することが示されており、これは2型糖尿病のリスクに深刻な影響(serious implication)をもたらす。

果糖は、血清中の尿酸値濃度(serum uric level)を上昇させる唯一の糖類である。果糖の摂取と高尿酸値血症(hyperuricemia)が、血圧を上昇させる可能性があるという臨床的証拠(clinical evidence)が増えている。高尿酸値血症はまた、心血管疾患(CVD)の独立した危険因子であることが、前向きコホート研究により示唆されている。

市販糖類入り飲料のカロリー量

国内で市販されているいくつかの糖類入り飲料について、炭水化物中の食物繊維はゼロ、すべて単糖類か二糖類と仮定し、1gが4kcalに相当するとして、250mlあたりに含まれる糖類のカロリー量を計算してみました。

コカ・コーラ
100mlあたりの炭水化物は11.3g  参考資料
250mlあたり113kcal

ポカリスエット 缶
100mlあたりの炭水化物は6.7g 参考資料
250mlあたり67kcal

キリン 午後の紅茶 レモンティー
100mlあたりの炭水化物は7g 参考資料
250mlあたり70kcal

POM ポンジュース
100mlあたりの炭水化物は10.4g 参考資料
250mlあたり104kcal 

まとめ

日本における糖類摂取の現状とWHO勧告
WHOの「強い勧告」である、糖類の摂取量を全カロリー摂取量の10%未満まで減らすということは、日本における平均摂取量を現状より増やさない、また「条件付き勧告」の5%未満にするということは、現在の平均摂取量を半減させることを意味しています。
米国心臓協会が提唱している
、心血管系のリスクを減らすための糖類の摂取量の制限は、おおむね5%未満に相当します。

肥満・2型糖尿病・心血管疾患などのリスク増大
糖類入り飲料の消費増大が、肥満・2型糖尿病・心血管疾患などのリスクを高めることが多くの研究で示されています。

カロリー過剰摂取だけの問題ではない
糖類入り飲料によるカロリー摂取増加を、他の食品摂取を減らして補正したとしても、2型糖尿病・心血管疾患などのリスク増大は避けられません。

糖類摂取の根源的問題
根源的な問題は、砂糖や異性化糖の構成要素であるブドウ糖や果糖を、吸収の早い形態で短時間に大量に摂取することの代謝上の影響です。ブドウ糖では血糖値を急上昇させる高グリセミック負荷になります。

後編では
後編では
、糖類摂取の根源的問題である、高グリセミック負荷果糖の過剰摂取について、詳しく取り上げる予定です。

ところで、「モンサントの除草剤でがん発症」、末期患者に賠償320億円 米裁判所というニュースが話題になっています。
米国で砂糖の原料として使われているのはサトウキビとビート(甜菜)ですが、ビートは大半が遺伝子組換え品種、またいくつかの国でサトウキビの遺伝子組換え品種を使う動きが始まっています。そして日本の砂糖供給の58%は輸入です。
異性化糖の原料である米国産のトウモロコシも大半が遺伝子組換え品種です。
遺伝子組換えの目的の一つは、モンサント社の除草剤ラウンドアップの有効成分であるグリホサートに対する耐性を高める《それが使えるように》ためです。
遺伝子組換えに関する問題は別稿にて近日中に取り上げる予定です。

参考文献 

[文献1]Guideline: Sugars intake for adults and children. World Health Organization, 2015
[文献2]Dietary Sugars Intake and Cardiovascular Health A Scientific Statement From the American Heart Association. 2009
[文献3]F. B. Hu et al. Sugar-sweetened beverages and risk of obesity and type 2 diabetes: Epidemiologic evidence. Physiol Behav. 2010 April 26; 100(1): 47–54. doi:10.1016/j. physbeh. 2010.01.036.